私の専門は技術ですから、「 技術の継承に困っています。」というご相談を多く受けます。
しばらく聞いていると、「 意図した通りの実績が出て来ない。」という事で「 教育が必要。」という話になり、大抵の場合は、教育は社内で行われます。
ところで、そもそも教育担当者は、どのようにして成長したのでしょう。
「 できる人 」と評価される人の殆どは、実は教育されていないのではありませんか?
自ら行動を起こし、悩みながら、自己成長に努力をしてきた人ではないでしょうか。
社会で求められている能力とは
学校教育は、与えられた課題に対する解を、正確に、早く導き出す方法を教えますが、社会で求められているものは、解の無い問題に対して、解を探し続ける能力です。
社会では、課題を見つけられた時点で、ほとんどの問題は解決しています。
つまり、何が問題なのかを、諦める事なく問い続ける能力が求められているのです。
社会に必要なのは、問題解決能力ではなく、問題発見能力です。
「 三人依れば、文殊の智恵 」
という言葉がありますが、社内の全員が同じ能力を持つ必要は有りません。
しかし、どこの企業でも、同じ能力を均等に育てる教育方法を考えるのは、学校教育以外の教育方法を知らないからでしょう。
大抵の場合、自ら行動を始めたきっかけは、「 何かしらの壁にぶつかった。」という経験から来るものだと思います。
人に何かを言われて、悔しい思いをしたかも知れません。
人に理解をしてもらえず、淋しい思いをしてきたかも知れません。
自分が何とかしなければ!!と言う、責任感から来るものかも知れません。
何れにしても、楽しかった経験から来るものよりも、苦しかった経験から来る方が多いのではないでしょうか。
出来る人の正体とは
周囲にいる「 出来る人 」を思い浮かべてみて下さい。
その人は、今までの経験の中で、何かに傷ついた事がきっかけで、何かに気付き。それを、「 築き 」に変えてきた人ではないでしょうか。
傷つく → 気付く → 築く
のサイクルを持つ人を、「 出来る人 」と呼んでいませんか?
お勉強が出来る人は「 頭の良い人 」とは呼ばれても、「 出来る人 」は別の意味を指していませんか?
頭が良い人 → 物理的な要素が優れている人
できる人 → 機能的な要素が優れている人
そもそも技術とは、
手で支えている術(すべ)
と、書きます。
身体を使わないで成長する事は出来ないのです。
人それぞれ考え癖や行動パターンが異なりますから、
気付く → 築く
という人も要れば、
築く → 気付く
という人もいるでしょう。
何れにしても、
● 気付く → 頭
● 築く → 体験
の両方の要素が必要なのです。
「 築き 」のプロセス構築方法
「 築き 」のプロセスを個人の中に構築するには、社員数が多い程に困難を生じます。
しかも、育てた社員は何時か居なくなりますし、次の世代を教育し続ける負担は永久に続きます。
ところが、築きのプロセス構築を、個人対象から企業対象に「 仕組み 」という形にするだけで、簡単に結果を残せるようになります。
社員1人1人の教育も必要ですが、個人の能力を企業の能力へとする方が簡単なのはもちろん、取組み自体が資産になります。
個人の能力依存から、社内の仕組み構築へ
と、努力する方が、結果が早く確実に積みあがり、永きにわたって成果を回収出来ると思いませんか?
「 経験 」という形が無いものは、「 仕組み 」という形の中に宿ります。
● 組織
● プロセス
● 規則
などは、形を整えた仕組みです。 形が伴わない教育では、結果は積み上がりません。結果を残せる器が無いのです。
「 形を整える事が如何に必要か。」を知る事が、教育システムを構築する第一歩です。